こちらの記事でお伝えしておりました、下北沢は
mona recordsさんにて開催されました11月21日のライブイベント「音楽と流星群」が無事終了いたしました。お越しいただきました皆様、出演者およびスタッフの皆様、ありがとうございました。お疲れさまでした。
私は藤本萌々子さんからお誘いを頂き、#2307のゲスト枠として、琴の演奏とコーラスで後半2曲に参加いたしました。あんなにも間近で、若い年齢層の方に(!)自分の楽器の演奏を真剣に聴いていただける機会はたいへん貴重なものでありました。
前半の3曲「月光食堂」「なつのみぞれ」「ホワイトナイト」に続き、後半は新居昭乃さんの曲のカバー「昼の月」「Lhasa」をお届けいたしました。
アレンジにあたっては2曲とも、まずはそれぞれ特定の楽器のパートにクローズアップし、そこにある音を可能な範囲で拾っていき、手の空くフレーズがあれば他の楽器のラインにも注目しました(昼の月のサビのバイオリン部分など)。あまり複雑なことはせず、それでも合わせ爪、すくい爪、かき爪、トレモロ、グリッサンドなど基本的な奏法は一通り織り込めるように楽譜を書きました。この楽器のおいしいところはだいたい伝えられたかなと思います。自分以外に読めるメンバーが誰もいなかったため、誰にもこの会心の出来を共有できなかったのが残念です!(
参考画像)
昼の月はアルバム「RGB」を聴いた時、1曲目に収録されていることもありとても強く印象に残った曲でした。実は、去る7月26日に小手指で行われた
セッションオフで萌々子さん、市蔵さんと既に合わせたことがあったりします。今回のお話を頂いた際にぜひあれをライブでということで、すんなり決まった曲選です。
冒頭のアルペジオがやりたかった。原曲でこの部分にどの楽器を使っているのか恥ずかしながら存じ上げないのですが、あのアルペジオだけで曲の世界にぐっと引き込む力があると思っています。のでアルバムのイントロダクションとしても最高なんですよね。お琴で再現してみると程よい緊張感が生まれてまた違った味わいに。
間奏にはおいしいソロもあるので、弾いている側としてもたいへん幸せになれました。
Lhasaはアルバム「ソラノスフィア」より。2曲目は複数の候補がある中で、これは最も難しそうだぞという予感が最初からしていました……が、神秘的な雰囲気に魅せられてぜひこれでいきましょう、と。
トレモロ地獄でした。さすがに胡弓のパートの完コピは無理だったのでだいぶ簡略化しています。一部ブズーキのパートも盛り込みました。土台を固めつつ技巧的な演奏は市蔵さんがやってくださる(であろうと踏んでいた。実際助けていただきました)ので、お琴はシンプルにのびのびと弾けるように仕上げました。聴きどころはイントロ後の指弾きによって生まれる幻想的な音です。1番サビの直前のソロには一部の弦にオクターブ上で鳴る処理を仕込んだんだけど、これ成功したんだっけな……もう記憶がないぞ……
コーラスはけっこう慌てて仕込んでおりまして、弾きながら歌えるかということも不安だったのですがご好評頂けてありがたいです。比較的単純なハモりだったので助かりました……。萌々子さんの抑揚と息遣いに寄り添った上で、安定感と包容力のあるコーラスワークを目指しました。ほわーん。
ちなみに、「ソラノスフィア」収録曲については新居さんご本人が解説しているページがあり、Lhasaのこともばっちり触れられています。聴きに来てくれた中で興味のわいたかたはぜひ思い出しながら読んでみてね。9曲目です。→
こちら
市蔵さんの安定感ある細やかで玲瓏なピアノ、筝の音が持つ幽玄な魅力、そして何より新井昭乃の世界を体現しうる萌々子さんの唯一無二の歌声の重なりは、想像以上に心地よく胸が震えるものでした。おそらく客席のみなさんが肌で感じていたであろうものを、同じように私もステージで感じていました。
また、今回PAさんには非常によくしていただき、筝も歌もたいへん心地よくパフォーマンスを行うことができました。10年以上お琴をやっていて、こんなにも落ち着いて気持ちよく演奏できた音響は、生まれて初めてかもしれません……
終演直後から嬉しいお言葉の数々をたくさん賜っております。演奏者冥利に尽きます。条件さえ揃えばぜひまたやりたいと、思うことができます。本当にありがとう。
お琴で演るなら「叶えて」もいいし「三日月の寝台」もいつかきっとやりたい……たぶん弾きながらぼろぼろ泣くだろうけど……
ZABADAKの「にじ・そら・ほし・せかい」もいいですね。となるともう一人ボーカルが必要だ。
スタッフのみなさんには度々「そんなに遠方からこんなに大きな楽器を……」と労をねぎらっていただいたのですが、萌々子さんのためならエンヤコラであることは重ねて申し上げていきたい。
お琴は長さ180cmに及ぶ長い楽器で、そんなデカブツをどうやって持ち運んでいたのかというとですね、この
画像を見ていただければおわかりいただけると思うのですが、キャリーカートに紐でくくりつけてゴロゴロ転がしてます。
おかげで平地移動はとても楽になりました。ただやはり高低差があるときつい。この3日間でバリアフリーの重要性を痛感しました。
さすがにここまでの大荷物を携えての長距離移動が苦にならないレベルの腕力を身に着ける、というのはあまり現実的ではない気もするので、階段を避けるルートとエレベーターを手早く探し出せる能力を習得しようと思いました。できる限りの工夫で、少しでも楽できるように努力をしよう。
そして今回の教訓として「現地で借りられるものはできるだけ借りて荷物は軽くすべき」ということを学びました。何も譜面台まで持参することはなかったんだ……とほほ